散る頃に咲く花

それから暫く宗次朗と話した。

それでも栄助は来ない。

青葉は泣きそうになってしまった。

『泣かないで。きっと来るから』

『泣きまへん』

青葉はそう言いながら目に涙を溜める。

宗次朗は困り顔になってしまった。

『ちょっと待っててね』

宗次朗はそう言うと、一つのお店に入っていった。

少しすると、手に何かを握って戻ってきた。

『はい、これ』

宗次朗は何かを差し出す。

『紐?』

それは、緑色の蝶の飾りが付いた紐だった。
< 170 / 338 >

この作品をシェア

pagetop