散る頃に咲く花

『今まで一緒にいたんどす。栄さんと同い年くらいの男の子が』

青葉は握っていた紐を見つめた。

『帰ろうか』

そう言う栄助に、青葉は頷いたのだった。

「ですから、あの男の子は沖田様ではありまへん」

青葉は沖田に言った。

「何で違うのさ。僕は青葉ちゃんの話を聞いて確信したよ?それは僕だって」

青葉は本当に沖田がどうかしてしまったのかと思った。

「今話を聞いとりましたよね?あの男の子は宗次朗という名前だったんどすよ?沖田様は総司ではありまへんか」

そんな青葉に沖田は呆れた様子で言った。

「だーかーらー、僕の昔の名前は宗次朗なんだよ」
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