散る頃に咲く花

「お腹空いてない?」

「大丈夫、です」

小さく答える。

「そっか、今、手拭い交換するね」

沖田はそう言うと、青葉の額から手拭いを外し、たらいの中で水に濡らして絞った。

青葉の額に冷たい手拭いが乗せられる。

青葉は冷たさに顔をしかめた。

しかし、体がとても熱いので、そこから冷えていくように感じた。

沖田は青葉の頭をゆっくり撫でた。

「女中の仕事、大変だったよね。毎日毎日」

青葉は目を閉じながら聞いた。

「大変な時は、僕が変わってあげるから、無理しなくていいんだよ」

沖田は穏やかに話した。
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