散る頃に咲く花

「青葉!」

誰かに呼ばれ、振り返ると、藤堂だった。

「藤堂様……」

青葉が小さく名を呼ぶ。

「団子。やるよ」

藤堂が包みを高く上げる。

「いつも、ありがとうございます」

いえ、ありがとうございました。かしらね。

青葉は心の中で思った。

「なぁ青葉、お前の、過去のことを話してくれないか?」

「私の、過去ですか?」

「あぁ。総司も、新八っつぁんも、左之さんも一君も知ってるのに、俺だけ知らないの、何か辛いからさ」

それに、と、藤堂は付け加えた。

「青葉のこと、もっとよく知りたいんだ」
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