散る頃に咲く花

「それに、私を襲うなんてこと、沖田様はしないでしょう?」

青葉は沖田に言った。

「どうだろうね」

そんな青葉に対し、沖田はにやりと笑う。

「う、うちは朝早いからもう寝ます!」

青葉は沖田から離れて、部屋の隅に置いてある布団に潜り込んだ。

「じゃあ、僕ももう寝ようかな」

そう言って沖田がふとんに入る音を聞きながら、青葉は眠りに落ちていった。

青葉の規則良い寝息がたっても、沖田の寝息は聞こえなかった。

青葉が新選組の女中になってから、二年半が経つ頃のことだった。
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