散る頃に咲く花
「このまま酔って、何もかも忘れられちゃえばいいのに。今日の事も、全て巻き戻って」
泣いてこそいないが、沖田もとても苦しいのだろう。
「私も、一つ、宜しいですか?」
青葉は杯を手に取ると、酒を注ぎ、斎藤のように一気に煽った。
それを沖田と斎藤は見つめる。
青葉は杯の底を見つめた。
「藤堂様は、もう、いないのですね……」
青葉の頬を、雫が伝う。
「もっと、藤堂様の笑顔を見ていたかった」
斎藤の頬にも雫が伝った。
「もっと、藤堂様に笑いかけて欲しかった」
遂に、沖田の頬にも雫が伝った。