散る頃に咲く花

『まずは井戸で顔を洗いに行こう』

斎藤の提案に、青葉と沖田は頷いた。

ばしゃぁぁぁぁぁ!

井戸に行くと、すでに先客がいたようだ。

頭から水を被っている。

その人が此方を向いた。

「新八か」

斎藤がその人の名を呟く。

「お前ら、目ぇ、真っ赤じゃねぇか」

永倉が気弱に笑う。

「だから洗いに来たのであろう」

斎藤が冷静に返す。

「そうだな」

永倉が空を見上げながら呟いた。

「今頃平助の奴、上の方で何やってんだろうな」
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