散る頃に咲く花

「すまん城崎」

すると突然斎藤に謝られた。

「どうやら、朝餉は必要なようだ」

斎藤は微笑んでいた。

「そうですね」

青葉も彼等を見ながら同調した。

立ち直った彼等なら、きっと。

「まずは、顔を洗うのが先だがな」

そう言うと斎藤は井戸に近寄り、水を汲んだ。

「皆も、顔を洗いに来たのだろう?」

斎藤の問いに皆が頷く。

「強いよね、本当に」

青葉の耳元で沖田が言った。

沖田を見ると、微笑んでいた。

「ずっと、此処に居られればいいな」

「はい」

儚げな沖田の顔を気にしながら、青葉も頷いた。
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