散る頃に咲く花
その日の夜、髪を束ねていた紐に付いていた飾りがないことに気がついた。
たぶん、女中の仕事の最中に落としたのだろう。
少し大切な物なので、探しに行くことにした。
台所に行ってみたがどこにもない。
油が勿体ないので、皆は寝ているようだ。
洗濯をした井戸の近くに行くと、そこに落ちていた。
緑色の小さな蝶がついている飾りだ。
あとで直さなくては。
そう思いながら拾い上げたときだ。
「あんた、女中だよな?」
そのような声が聞こえたのは。