散る頃に咲く花

その男は、八木邸に住んでいる隊士だった。

しゃがんでいるじっと青葉を見下ろしている。

「そうですが。何かご用でしょうか?」

青葉が訪ねると一歩近寄ってきた。

「美人なのに、女中なんて勿体ないなぁ」

また一歩近寄る。

それに合わせて青葉も一歩退く。

それを繰り返していると、何かに当たった。

井戸だ。

「酷いなぁ。そんなに怯えなくてもいいじゃないか。女中の仕事、大変だろ?手荒れとか酷いんじゃない?」

そう言って青葉の手に触れる。

「あれ、綺麗な手をしてるね」

そう言いながら青葉の手を撫で回す。
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