散る頃に咲く花
強い意志を込めた声で、沖田は言った。
「よかった。生きていたい願ってくれて。おおきに」
二人は、どちらともなく口付けを交わした。
まるで、これが当たり前だというように。
とても自然なものだった。
「ありがとう。青葉」
沖田はもう一度、青葉を抱き締めた。
青葉も沖田の肩に両腕を回し、抱き締め返した。
このまま、時が止まってしまえばいい。
誰も死ぬことなく、幸せに。
それは二人が思ったことだった。
しかし、病気は確実に沖田の体を蝕んでいった。