散る頃に咲く花
すると、玄関に沖田が立っているではないか。
「沖田様...」
「今晩は」
沖田は何事もなかったかのように、目を細めて笑う。
「どうして此処に?」
尋ねると井戸に寄っていき、水を汲み始めた。
「夏って暑いからさ」
どうやら水を飲みに来たらしい。
「そうですか...」
沖田は地面で呻いている男に目をやった。
「そこの君、この事は土方さんに報告ね」
そう言われると男は、訳の分からない言葉を発しながら、八木邸に走り去って行った。