散る頃に咲く花

次の日、いつも通りに仕事をしていた。

洗濯をしようとたらいを持ち上げると、一匹の蛙がいた。

「ヒッ!」

青葉はたらいを取り落としてしまった。

その拍子に蛙が外に飛び出す。

「きゃぁ!」

「あ、青葉蛙嫌いなのか?」

その日、女中の手伝い役だった藤堂が蛙を掴み遠くに投げてくれながら聞いた。

「は、はい。すみませんでした」

「いや、女の子だもん。虫とか嫌いだよな」

藤堂は少し驚いたように、苦笑いした。

それを見ている男が数人。

昨夜の男も混ざっていた。

男達は、いや、昨夜の男以外は、口元を歪めた。
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