散る頃に咲く花

「その喋り方って京の..….?」

藤堂が言い終わる前に青葉は身を翻し、自分の部屋に駆け込んだ。

「ハァ、ハァ、ハァ...…」

やってしまった。

もう京の言葉は使わないと決めていたのに。

反射的に使ってしまった。

別に心残りがあるわけでも、京の言葉が好きだった訳でもない。

ただ、一度馴染んだ言葉は、何年経っても忘れることはないらしい。

皆の前から逃げたのは恥ずかしさもあった。

今まで冷静な女であると思われていたであろうに、取り乱した上に京の言葉を発してしまうなんて。

しかし、京の言葉を発した自分に驚いて逃げたということもあるのだ。

どうして今頃使ってしまったのだろう。

その時、青葉を呼ぶ声が聞こえた。
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