散る頃に咲く花

しかし、山道を歩くときに手を貸してくれたり、頷くだけの青葉に家の話を沢山してくれる奥沢は、良い人なのではないかと勘違いしてしまう。

この人なら信じてもいい。

そんな事は絵空事なのだ。

しかし、そう思ってしまう程、奥沢の目は優しいのだ。

柔らかい雰囲気なのだ。

すると、奥沢が唐突に尋ねてきた。

『何故私が君を買ったか分かるかい?』

青葉は首を振った。

『君の目にはね、光が見えないんだよ』

『光?』

青葉は呟く。

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