散る頃に咲く花
『あぁ、父さん、お帰り。あれ、その子は?』
中から人の良さそうな、一目で奥沢の息子だと分かる男が出てきた。
青葉より少し年上のようで、落ち着いた雰囲気である。
それでも青葉は少し恐くなり、奥沢の後ろに立った。
『これは私の息子の栄助だ。仲良くしてやってくれ』
『はい』
青葉は頷いた。
『父さん、僕はその子が誰かと聞いているんだよ?』
栄助が呆れたように言う。
『買ったんだ』
『へ?』
事も無げに言う父親に息子は何とも間抜けな声を出した。