散る頃に咲く花

『青葉、自分の事を息子に紹介してやってくれないか?』

呆気に取られている息子を無視し、奥沢は青葉に言った。

『京都から来ました、青葉どす。宜しゅうお願いします』

青葉は、大嫌いだった京の言葉で挨拶をした。

『僕は奥沢栄助だ。宜しく』

気を取り直した様子の栄助が言った。

『それにしても、父さんも急にすごいことしてくれるよね』

栄助は砕けた様子で言う。

『これから宜しく、青葉ちゃん』

栄助が青葉の顔を覗き込みながら言う。

『あ、いえ、青葉でええどす』

青葉は、慌てて顔を背け、小さく手を振りながら言った。
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