散る頃に咲く花

『そうか。これから宜しく、青葉。』

そう言ってニッコリと笑った。

その日から、奥沢家の人はいろいろと青葉によくしてくれた。

そのお礼として、青葉も使用人だった頃に得意だった家事をしたのだった。

そして青葉は、奥沢家の人たちを信じようと、なるべく関わりを多くした。

奥沢家の人達も、青葉と積極的に関わろうとしてくれた。

青葉は一つ、栄助にお願い事をしていた。

『栄さん栄さん、うちに、標準語教えたってください』

江戸にいるのに京の言葉を話しているのは、自分で気になったし、京の言葉を話していると、どうしても酷い扱いをしてきた男を思い出してしまうのだ。
< 54 / 338 >

この作品をシェア

pagetop