散る頃に咲く花
それから青葉は栄助に標準語を教えてもらった。
同時に奥沢に体術を習った。
『何かあった時のためにね』
奥沢はにっこり笑った。
そして最初は不自然な発音だったところも、栄助の優しく根気強い指導により、すらすらと話せるようになった。
しかし、
『栄さん、私今、笑ってますよね?』
と訪ねでも、
『まだ距離があるんだ』
と返されるばかりだった。
心のどこかに、青葉は壁を作っているのかもしれない。
いつか傷つけられる。
そんな思いを、消せないのかもしれない。
心から笑えていないのは、自分が一番分かっていた。
けどどうやって笑うのか、分からないのだ。