散る頃に咲く花
そんな生活が続き、早二年が経った。
その頃青葉は十七歳になっていた。
それまでに栄助は、一度も、早く笑えと急かしてくることはなかった。
ただ、青葉に聞かれると、ちゃんと答えてくれた。
栄助の無理強いしない、そんな所が大好きだった。
そしてある日。
『じゃあ、行ってくるよ』
栄助は新選組という、京都にある組織に入隊することになった。
『栄さん、どうかご無事で』
『ありがとう、青葉。青葉も父さんも、体に気をつけてね』
『息災でな』
父親の言葉に栄助は力強く頷いた。
そして栄助は青葉の耳元に口を寄せて言った。
『次に会うときは、青葉の笑顔が見たいな』