散る頃に咲く花
「あの、そろそろ手を」
いつまでも手を離さない吉村に青葉は告げる。
「あ~、うん。もうちょっとだめ?女の子の手なんてめったに触れないだろ?」
「だめです」
青葉は即答した。
すると名残惜しそうに青葉の手を離した。
「そうそう、そうしなきゃ土方さんに今度こそ切腹命じられちゃうかもよ?」
「沖田様」
「沖田組長」
沖田を吉村は恐ろしい人を見るように見る。
「じゃあ、俺は八木邸に戻るから。じゃあな」
吉村は慌てた様子で言った。
「でわ」
それから吉村は八木邸に戻ったのだった。