散る頃に咲く花
あぁ、なる程。
青葉は迷わず店の中に入って行き、店主に声を掛けた。
「旦那はん、もう墨は残ってないんかぇ?急ぎで使いたい思っとったんやけど」
それを沖田が驚いた様子で見ている。
「女の子が来たときのためな、一本だけとっといたんや。それでいいどすやろか?」
「勿論や。おおきに」
やはり、まだあったようね。
店主は墨を一本取り出した。
「これでどうどす?」
「じゃあ、それを」
青葉はお金を払い、出て行こうとした。
「行きますよ」
その時、小声で沖田にも声を掛けたのだった。