迷宮ラブトラップ
家に帰っても夫はソファで不自然な格好で寝ていた。
その上まだ変だからと隣の祖父の家のマッサージチェアを借りに行ってしまった。

折角遼也さんに見て貰ったのに…

瑞香は内心腹が立ったが、不自然に怒ってはいけないと態度には出さなかった。


そんな夫の態度だったので、二度目はないと思っていたのだが、夫は今月のママ友宅のリハビリに行くと言い出した。



「合わなかったのかと思ったのにねえ。」

夫の様子を聞いた遼也は特に嫌な素振りも見せずそう言った。

ママ友宅で再び夫と遼也に会う前に遼也に会っておきたくて、瑞香は仕事帰りに遼也の元を訪れていた。

「お帰り。」

そう言って抱き締めてくれたし、キスもそれ以上の事もしてくれた。
けれど、

「姫初めはもうした?」

なんてさらっと聞いてくる遼也の気持ちがよくわからない。

瑞香が嫌そうな顔をしても、

「夫婦なんだから当然でしょ?」

と更に追い討ちをかける。

確かに夫ともしてはいるが、それを全く気にされないのは自分に対する好意が少ないような気がして正直凹む。

私は遼也さんが他の女性とするのは複雑なのに…


遼也は瑞香の身体を診た後、せっせとベッドを動かし始めた。
何事かと瑞香が眺めていると、遼也は床にマットを敷いた。

「この方がいいでしょ?」

二人で会うとHをするのが当たり前のようになった。
会える機会がそもそも少ないのだし、瑞香にも不服はないのだが、沢山のテナントの入ったこの場所では声を我慢しなくてはならないので、瑞香は東京で泊まったあの時以来、落ち着いて遼也と身体を重ねられていなかった。

診察台では狭すぎるので、確かにそれよりは安心出来るのだが…

もっと落ち着いた所で遼也さんとゆっくりしたい。
そんな気持ちが強くなる瑞香だった。
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