春夏秋冬、ときめいて
「あの……お客様ポップの、セロリさんってどんな方かご存知ですか?」


あたしの言葉を聞いて、この油キトキトボーイの表情が、急にでろでろと崩れ出す。


キモいキモい!!なんだよお前。


「失礼ですけど、もしかしてネロリちゃん?」


……えー。何で知ってるの?まさか、お前がセロリ野郎???


「……は、はい」


「いやー、やっぱりなー!!こうやっておけば、絶対いつか出てきてくれると思ったんだ!」


「……はい?」


「名乗り出てくれるのを待ってたんだよ!!」


何だかハグでもされそうな勢いに、思わず一歩下がる。


「あ、ごめんごめん。なにかと思うよね。おーーーーい、ヤスー、ついに来たぞ、ネロリ姫」


店内に、他にお客さんがいないのをいいことに、そりゃないでしょってくらい大きな声でカウンターの奥に声を掛けている。
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