春夏秋冬、ときめいて
「またまたーぁ」


カウンターの奥から出てきたのは……今までこんなバイトの人いた?!と聞きたい位、爽やかイケメン。


信じられない……。


呆然と見とれるあたしの前に、その『ヤス』と呼ばれた爽やかイケメンがやってくる。


「すみません、これ。3回分の商品券です」


「え……?」


少女漫画のヒロインぶって躊躇ったのではなく、本当に意味が分からなくて。


自分が好きなマイナーなCDや本に自分と同じ感想を書いてくる『ネロリ』がどうしても気になり、会ってみたくなり、おびき寄せる方法を考え、あの油キトキトボーイ発案の、この『パクり作戦』を使ったんだ……という説明が終わる頃には、あたしのカサカサの心には炎が今にも付きそうで。(何か凄い燃えそう)


「思った通りかわいい人だった!」


……ハイ着火。


あたし、この冬はちょっと忙しくなりそう。




【完】
< 110 / 122 >

この作品をシェア

pagetop