春夏秋冬、ときめいて
「咲哉君は、いいなぁ」


ずっとレジでうだうだしてるあたしと違って、喋りながらも手を止めず、今度は室温チェックの表をバインダーに挟みながら咲哉君が笑っている。


「よくないですよー。なーんにも」


「夏、好きでしょ?」


「はい」


「毎日、楽しいでしょう?」


「はい」


……何の躊躇もない。凄いなぁ。今までの人生で嫌なことなんて何もなかったんじゃないの?


「汐里さんは、夏嫌いですか?毎日楽しくないんですか??」



……まさかの、質問返し。
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