春夏秋冬、ときめいて
「あゆみー、あゆみ様ー、お願いでーす!」


「何よいきなり」


休み時間、廊下に出たところで後ろから声を掛けられる。


「英語の辞書貸して!」


「……えー……また、忘れたの?」


「いやー、ほら、あゆみの辞書使いやすいじゃん?」


「……指定のやつで全員これですけど……」


「まぁまぁ、固いこと言わず!」


「しょーがないなー」


あたしは教室に戻り、英和辞典を持ってくる。


「サンキューなー!!」


……笑顔バイバイして走り去る大翔(ヒロト)の背中を見つめる。
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