春夏秋冬、ときめいて
工場で色々な部品を作っている、という彼は、あたしの、本当のお父さんと同じ名前で。


漢字は違うのだけど、読み方が全く一緒で。


真面目なところが見え隠れしているのに、軽快なトークをするもんだから、楽しくて楽しくて。


気がついたら、一緒にいた数時間で、すっかり好きになっていた、あたし。


あまりにも世界が違いすぎて、知らないことばかりで。


「知らないことを教えてくれる人」の存在は、頼りになるし、ほっとする。


……男の人って、こんなにがっしりしてるんだっけ??


あたしは、もしかして、凄く居心地のいい『居場所』が見つかったかもしれない……という期待で、アイスの当たり棒をそっと握りしめた。


彼が、隣で楽しそうに笑っている。




【完】
< 88 / 122 >

この作品をシェア

pagetop