志ーこころー 【前編】─完─
「おう!嬢ちゃん、えらくべっぴんさんだなぁ〜!」
……今度は誰だ?
すると、怪訝そうに顔を歪めたあたしの隣には、筋肉だるまがいた。
筋肉だるまは真っ赤な顔をしたまましゃがみこんで、
永倉「俺ァなぁー、永倉新八って言うんだ!よろしくなっ!!」
そういって、屈託の無い笑顔をあたしに向ける
志乃「松野志乃っす。よろしくっす」
あたしは棒読みで答えた。
新八「あぁー、さっき局長から聞いたからわーってるて!」
……うん、わかってくれているのならいい。
いいんだけど……
志乃「(酒癖ぇし、鬱陶しい……)」
今の状況は、居酒屋で面倒な客に絡まれた店員……。
右には平助、左には永倉。
どっちも酒くさくて、どっちも鬱陶しい。
さっさとこの悪魔のような空間から脱出しなければ…………!!!