志ーこころー 【前編】─完─
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山南「志乃さん、ちょっといいですか?」
志乃「あ、はい。」
自己紹介を終えて席に戻ったあたしのところに、山南さんがやってきた。
山南、彼は現代でも有名な山南敬助である
「親切者は山南・松原」という言葉が残るほどの優しい人だった人物
参謀の一人で、この屯所内において必要不可欠な人だ。
だが、この人はもうじき死んでしまう
屯所を脱走して、切腹させられるのだ。
そんな相手の残酷な未来を知っているから、あたしはどう接していいのか分からなかった。
山南さんはほんわかとした雰囲気の、大きいお兄さん、って感じがする
山南「志乃さん、まだまだこの場所に来て、わからない事だらけでしょうが 私たちを頼ってくださって構いませんからね?」
そういって、にっこりと微笑んだ山南さん
じーんときた
ついさっき出会ったばかりだけれど、あたしに優しい言葉をかけてくれるなんて
感激の極み…………
山南「私をお父さんだと思って、気軽に声をかけてくださいね?」ニコニコ
…………………………ぇ
あたしの耳が悪いのだろうか
お父さん……?
ィヤィヤ
志乃「……あの……あたし、子供じゃないですよ……?」
山南「……ぇ……?」
山南さんは、疑うことを知らない子供が、初めて人を疑うことを知ったような顔で、あたしを見る。
まさか……。まさか、ね。
この山南さんに限ってあるわけ…………。ははは。
……………………でも、一応確認。
志乃「……………………あたし、今年で16になりますけど………………」
そう言うと、案の定、山南さんは目を点にした。