志ーこころー 【前編】─完─
秋本梢(あきもと こずえ)
21歳、独身彼氏なし。
梢おばさんはお母さんの妹
なのに瞳の色は澄んだ黒色だったことが、小さい頃のあたしはちょっと衝撃だった
父さんとお母さんは大恋愛の末に家出までして結婚したから、あたしはおじいちゃんもおばあちゃんも会ったことがない
実際あの日、おじいちゃんもおばあちゃんも線香1つ上げに来なかった
ちなみにちらっと聞いた話ではお母さんはどっかのいいとこのお嬢さんだったとか
今ならわかるんだけど、だからきっとおじいちゃんもおばあちゃんも来なかったんだろうなって
そしておばさんがあたしの面倒を見ると、少ししかいない親族の前で宣言した。
端から見ればありがたいもんだよ。
無一文の小さな女の子
厄介な女の子。気味が悪い子。
誰も何も止めなかったし、言わなかった。
それは、周りが大賛成だということを、何も語らずとも物語っていた。
そんな訳で、これからまだまだ結婚する年だというのに、おばさんはあたしを引き取った。
そして女二人の共同生活が始まった