志ーこころー 【前編】─完─


あたしは、自分の世界がガラガラと壊れていく音を聞いた 気がした。













耳の奥がじんじん言ってた











頭が真っ白になったのと、やっぱり、と言う妙な冷静さをもったあたしが、静かに耳を傾けていた










中学生になったばかりのあたしにとって、環境が変わったことと、おばさんのことなどのストレスで、頻繁に吐いた






いじめは無くなっていたいたものの、あたしは誰とも親しくなることはなかった









相談する相手もいないまま、あたしは病院でおばさんを看取った








おばさんは静かに息を引き取った








たった7年しか一緒に居なかったけれど、あたしのほんの少ししかいない大切な人








あたしの心の拠り所。あたしのすべて。あたしの大好きな、たった一人の頼れる人







あたしは一人で生きた






施設へはおくられたけれど、何度も抜け出した。





そのたんびに怒られて、そのたんびにあたしの心は閉ざされていった








高校生になって、あたしは一人暮らしを始めた






寂れたアパート。住んでいるのはあたしと大家さんだけ





あたしは自分が強くなるために、小学校から続けていた剣道と柔道にのめり込んでいった







なにかに必死にならないと、孤独で、不安で、怖かったから





















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そんなある日、あたしはこっちに飛ばされた












みんなと出会えた。












あたしは、…………もう一人じゃない















志乃「これが……あたしの全部。……ほんとの気持ち……」









あたしは自分の肩を両手で抱いて縮こまった








漏れそうな嗚咽を飲み込んで、飲み込むことでやっと、嗚咽を押し殺すことができた









必要にされることで、あたしは生きていると思える






あたしの世界が戻ったのだ








この、うるさくて、優しくて、ときに残酷なこの時代で








志乃「……あり、がと……」







どうしても伝えたかったから、途切れ途切れだけど、言った








ポンポン










志乃「……っ」







ふいに、大きな手があたしの頭の上に置かれた







その優しくて大きくてあったかい手は、あたしを優しく包んだ










途端、あたしはこらえていた何かが堰を切ったように、大声で泣き始めた





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