志ーこころー 【前編】─完─
そこへ入ってきた梢さん
梢「あぁ!駄目駄目!!そないな格好はするもんとちゃうでぇ?」
そういってあたしに綺麗な色の着物を渡す
それは素人のあたしが見てもわかる程、とても高価なものと伺える
志乃「受け取れないですよ!!こんな見るからに高そうな着物……」
グイグイと着物を押し付け、
梢「ええのええの!これはあんさんの!ほれ!もう志乃はんが触ったでぇ~。ってことでこれは志乃はんの。つべこべ言わずはよお着替え!」
うぅ、そんな御無体な
しかもにやりと笑っている梢さん
あたしの手元には黄色の着物。たぶん、錦織なのだろう。とても綺麗な素地なのに、いやらしい感じはなくて上品に見える
志乃「あたし、これからちょっと出掛けるんで。これは大事にとっておきますから」
と言ってあたしは箪笥に着物をしまう