志ーこころー 【前編】─完─
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というのがつい先程までのお話
あたしと坂本さんは軍鶏(しゃも)鍋をつついている
軍鶏って……。あたしは記憶を呼び覚ます
坂本龍馬
たしか慶応3年11月15日に近江屋で暗殺された……だったっけ……
新撰組の関与が強く疑われ、近藤さんは土佐藩の強い希望の下、斬首……
グツグツと煮えたぎる鍋を見つめる
絶対にこの人を斬らせてはいけない
きっとこの人がいた事で大きく歴史は変わってゆくであろう
ずっと後の戦争……
第一次世界大戦、第二次世界大戦
これらを回避する術(すべ)が、ひょっとしたら見いだせるかも……
坂本「志乃ぉ~、おまんはさっきから怖い顔して何を考えちゅう~」
坂本さんは、手元にあったお鍋をよそうお皿に熱々の軍鶏鍋をよそいで
坂本「ほれ!どーじゃーうまそーやろ~」
あたしに持たせて、自分は食べることに専念している