志ーこころー 【前編】─完─
その言葉に坂本さんはあたしを見る
─イヤダ
─イヤダ
上手く息を吸えない
段々上がってゆく動悸に、あたしは胸を押さえる
坂本「おい!大丈夫かッ??!!」
中岡「龍馬!そいつに触れるな!俺が今ここでそいつをぶった斬ってやる!!!」
あたしの唯一の希望は、大嫌いなこの目のせいで台無しになってしまうのか……
久々に現実を突きつけられたあたし
もう、もう、こんなあたし……
役にも立てないし、誰かを救う事も願ってはいけないなんて……
お願い
あたしをこの蟻地獄から救ってほしい……
─グラリ
気が遠くなってゆく
坂本「……???!志乃?!志乃?!おい!おい!」
中岡「どけ!」
中岡が坂本さんを突き飛ばす
中岡「こんな見るからに怪しい奴など…………」
志乃の胸ぐらを掴む
中岡「…………!!!!!」
中岡は刀を静かに鞘に納めた
中岡「………………こいつ、泣いてやがる」
この坊主、泣いてやがる
そっと抱きかかえて、坂本の元へ行く
中岡「お前が連れてきたのだろう。お前が処分しろよ」
坂本に志乃を渡して、部屋を出ていった