志ーこころー 【前編】─完─
おばさんは先程までの険しく厳しい顔から一変、今度は優しい表情であたしの頭を撫でた
『飛ばした……ってゆうよりもあんた自らがこっちの世界へ飛び立っちゃったって感じね』
え、どういう事なのだろうか…………
あたしはおばさんの声がしたからてっきりそうなのだと思っていたけれど……
ここに飛ばされてからずっと考えていた
あたしが飛ばされた理由
意味があった上でのあたしだったのか
それとも誰でも良かったのか
もしくはあたしはこの世界でもあの世界でもいてはいけなかったのか
─ペチコンッ
志乃『いでっ!!』
おでこに走った痛み
見るとおばさんは人差し指をあたしに向けていた
デコピンをしたのだとわかった
ジン……と、緩やかに広がる痛みは、おばさんの言いたいことを伝えている
『そんなつまらないもんに囚われるな』
志乃『でも……!!』
と、いいかけた刹那、あたしの目から大粒の涙がこぼれ落ちる
こんなに泣き虫だったっけ、あたし