志ーこころー 【前編】─完─
あたしは鞭に打たれたように顔をあげた
おばさんはしたり顔であたしを見る
『志乃……あんた、気づいてんだろ?ほんとは一人じゃないこと』
嘘だ、あたしは一人。
あたしはここにいてはいけない存在
絶対に交わることのない人間
志乃『嘘だ!!あたしはそうやって、また一人になるんだ!!おばさんだってあたしを一人にしたじゃない!!!!』
あたしは狂ったように叫んだ
志乃『誰も信じないんだ!こんなあたしなんて……こんなあたしなんか……ッ!!』
とたん、わああぁぁ、と泣き崩れた
全てを否定したかった
この世、あの世界、人、父さん、母さん、おばさん、新撰組、坂本さん、そしてあたしを
志乃『……ッ……おばさん、教えてよ……』
『………………』
志乃『……なんであたしは生きてるの?』