志ーこころー 【前編】─完─
てっきり慰めてくれるのだと思っていた
『それでもう終わりかってこと』
ポーカーフェイスのおばさんを、あたしは見上げる
終わり……?
そんなわけないじゃない
でも、感情が上手く言葉に出来ないもどかしさから、あたしの涙はいつの間にか乾いていた
『なにかある?』
言え……ない……
『卑屈なのよね、志乃。あんたは。殻に閉じこもって、いつまでたっても心開かないで』
項垂れずにはいられなかった
だって、気づいたから
『もういくつなの?志乃』
おばさんが何をいいたいのか
『周りを見なさいよ』
いつだってそう
『チャンスの神様は後ろ髪ハゲだぞ。オチオチしてたら掴みそびれるぞ。』
段々と意識がとおのいていく
不器用な優しさでしか言えないけど
『あんたにしかできないことがあるから。だから、負けるな。運命なんかに流されるのは、もう懲り懲りだろ?』
いつだって優しいってことを、あたしは知ってた
『偶然なんてないからな!全ては必然なんだぞ!!忘れるなよ!志乃!!そしてお前の誠を貫け!!!』
おばさんの叫ぶに近い大声を聞いた
嗚呼、わかったよ。
あたしは微笑んで見せる
それが最後、あたしはまた意識を飛ばした