志ーこころー 【前編】─完─
中岡の瞳が一瞬、揺れた。
あたしはその一瞬を見逃さなかった
志乃「今から、150年先の未来から」
中岡の口が、少しだけ開いた。
坂本「それはほんまがかえ?」
突然口を開いた坂本さんが、あたしのもとへにじり寄ってきて、あたしの目を見ていった。
きっと、最後の確認だろう
一見、明け透けで、適当なように見えるけれど、この人はあたし達とは何かが違う
この人の目は、武士の目だ。
表では明るく振る舞ってはいても、芯がある。
この人の心は、どんな刀よりも鋭く、そして美しい。