志ーこころー 【前編】─完─
そんな人の目に見つめられると、普通ならば、白状したくなるだろうな
きっとこの目で、この時代を切り開いていったんだろう
あたしは嘘をついていない。
真実のみを語っているだけなのだから。
お願い、どうか、あたしを信じて……。
しばらくの無言の後、坂本さんが言った。
坂本「……おまんは、いい目ぇをしちょる。真っ直ぐな目じゃ。おんしは嘘をついちょらん!!!わしが保証するき!」
にっこり、坂本さんは中岡に笑顔を向けた
中岡は、信頼する坂本さんに諭されたのが効いたのか、憑き物が落ちるかのように、肩を落とした。
そして、あたしの手を握った。
中岡「Nice to meet you、志乃。」
意外にも、綺麗な発音で、悠長な喋り方だった。
坂本さんよりも上手だった。
そしてこの時、運命の歯車は、確実に、音を立てて動き出したのだった。