志ーこころー 【前編】─完─






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沖田「これかこれかこれ!どれがいいですか??」






いまあたし達は着物を選んでいるのだが……




志乃「……どれって言われても……」




女のあたしより沖田のほうが楽しんでいるように見えるのは、気のせいか……?



女将さん「これなんかええんとちゃいますかぁ〜??」



女将さん、あなたさっきからちゃっかり混じらないでよ!




にこにこと嬉しそうにあたしを見ているここの女将さんは、おばさんとよく似た顔立ちをしている気がする。




そんなことを考えていたら、沖田の急かすような視線を感じたので、思考をストップする。






沖田が持っているのは桜色の着物と、淡い黄色の着物。



それから、浅葱色の着物。



……浅葱色って……





なんか……





その独特の異彩を放つ着物を指さして、





志乃「……その浅葱色以外ならいいと思う」



と言ったら、沖田は心底残念そうな顔で文句を垂れる。




どうやらその浅葱色の着物は、沖田自慢の自信のひと品だったようだ。





沖田「えーーー!!この色よくないですかぁー???」




と、沖田。誰だよ、あんたは!




あれか?!現代のJKかっ?!





百歩譲って羽織としてならまだしも……




あたしの着る着物にまで強要しないでいただきたい!




女将さん「ほな、この2着でええでっかぁー??」ニコニコ





おら!女将!!!



勝手に買わすなー!




てか今思い出した……とても、すっごぉぉぉぉぉぉぉくっ!重要なこと!!
































志乃「……あたし……お金持ってない……」









なぜこれほとまでに重要なことをわすれて買い物なんてアホらしいことを言えたもんだ





志乃「帰ろう。」




あの淡い桜色の着物……可愛かったんだけどなぁ……




まぁいいや。着物なくてもお古があるし



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