短編集
ケータイ
・恋人のケータイ。内緒で着信履歴やメールをチェックしたことがある。
―― yes→5へ、no→8へ
「……あるある、悪いと思いながらついついやっちゃうのよねぇ」
鉛筆で雑誌をなぞる、そんな音を聞きながら、あたしはどこかうわのそらだった。
隣では、うちに飲みに来た友達が“あなたの恋の長続き度チェック”をやっている。
「里香はない?彼氏のケータイ見ちゃうこと」
「……ない。だってそこは踏み込んじゃいけないとこだと思ってるから。なにより――信用してるしね」
へぇ、と、にやついてこちらを一瞥したあと、彼女はまた雑誌の特集に没頭しだした。
……うそついてカッコつけてしまった。
ほんとうは、彼氏のケータイ覗いたことあるのに。
いや、今の彼氏にはしたことないのよ?
昔付き合ってた――はじめて付き合った彼氏のケータイは、覗いてしまったことがある。
見てはいけないもの、でもあたしには計り知れないものだからこそ、ついつい見たくなってしまうもの。
まだ若かったあたしは、その悪魔の誘惑に負けてしまったのだ。
―― yes→5へ、no→8へ
「……あるある、悪いと思いながらついついやっちゃうのよねぇ」
鉛筆で雑誌をなぞる、そんな音を聞きながら、あたしはどこかうわのそらだった。
隣では、うちに飲みに来た友達が“あなたの恋の長続き度チェック”をやっている。
「里香はない?彼氏のケータイ見ちゃうこと」
「……ない。だってそこは踏み込んじゃいけないとこだと思ってるから。なにより――信用してるしね」
へぇ、と、にやついてこちらを一瞥したあと、彼女はまた雑誌の特集に没頭しだした。
……うそついてカッコつけてしまった。
ほんとうは、彼氏のケータイ覗いたことあるのに。
いや、今の彼氏にはしたことないのよ?
昔付き合ってた――はじめて付き合った彼氏のケータイは、覗いてしまったことがある。
見てはいけないもの、でもあたしには計り知れないものだからこそ、ついつい見たくなってしまうもの。
まだ若かったあたしは、その悪魔の誘惑に負けてしまったのだ。