短編集
高校生のときに付き合っていた男の子。


クラスで一番――いいや、学年で一番かっこいい男の子だった。

1年のときにクラスが一緒になって以来、ずっと好きだった。


でも彼には、彼女がいた。


隣のクラスの、たしか名前は由利ちゃん。

ふたりは幼なじみ。


正直、あたしは由利ちゃんより可愛かったと思う。

それなりに男の子にはもててた気がするし、好きな彼とだってあたしは仲がよかった。

彼と友達のふりして様子をうかがって――ずっとチャンスを待っていた。



彼が由利ちゃんと別れた、なんて話を聞いたとき、あたしは無我夢中でその好機にとびついた。

彼の相談相手になりながら、彼があたしを見てくれるように――一生懸命アピールした。


おかげで、彼が由利ちゃんと別れて2週間後……あたしの告白は、見事に成功したのである。


彼と恋人同士になれるのなら、あたしはなにもいらなかった。





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