短編集
付き合いはじめて3週間、あたしは彼の家に呼ばれた。


“――今日は親が夜勤で、夜中まで帰ってこないから。”


ドキドキしながら足を踏みいれた二階の彼の部屋、壁にはバスケットボールのゴールが打ち付けてあった。


彼が下の台所に飲み物を取りにいってる間、部屋にひとり取り残されたあたしは、慣れない空間に緊張していた。

机に並ぶバスケ雑誌と教科書。

これからはここで、テスト前にはふたりで勉強したりするのかな、なんてことを、照れながら考えていた。



そんなくだらない妄想をしていたあたしは、突然鳴り出した彼のケータイに飛び上がるほど驚いてしまった。

呼吸を落ち着かせながら、彼の青いケータイをつまみあげる。

電話なのかメールなのかわからなくて、思わずあたしは、折りたたまれたケータイをパチンと開いてしまった。



明るく光ったディスプレイに現れたのは、



メール受信:由利








彼はまだ、上がってこない。





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