短編集
同棲して1年と9ヶ月。

ふたりでいることが当たり前になりすぎたカップル、正史(まさふみ)と実織(みおり)。


2年近くもふたりで一緒にいたら――お互いに、緊張感やトキメキには欠けてしまうものである。

しかもこのふたり、最近少々マンネリ気味。


でも将来はいつか結婚しよう。
そう言っていたはずのふたりなのに、ほんの些細なことで取り返しのつかないケンカをしてしまった。








「――おい、みお!お前休みだからっていつまで寝てんだよ」


そう、きっかけは……見て見ぬふりをしつづけていた、お互いの嫌なところ。


「んもーうるさいなあ……いいじゃない、土日くらいゆっくり寝せてくれたって」


「おまえいつもそれだろ!たまには早く起きて掃除してメシでも作れ!」


その一言に、実織がキレた。


「――なによ、まーくんがすればいいじゃない!アンタなんて年中休みじゃないの」


吐き捨てた言葉は、完全に凶器と化している。

痛いところをつかれてしまった。


現在無職の――正史さんにとっては、とんでもなく悲しい一言だった。




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