僕等の歌声
#1出会い
私たちの出会いは唐突で、偶然で、そして必然の出会いだったのかもしれない。
体が凍りつくような寒さ、自分の白い息が良く見える。
悴む手でゆっくりと自転車を押していく。
現在2月12日、朝7時30分。
学校に登校するのは、何カ月ぶりだろうか。
特に変わった雰囲気はなくいつもと変わらず
生徒たちは元気に登校してきている。
私は、若野 貴理(わかの きり)
大きな病気を持っていて手術をしていた為学校に来るのは約4カ月ぶりとなる。
体が弱いこと以外では、至って普通の女の子である。
『あ!!貴理!やっと学校来れるようになってよかったね。』
高くよく耳に通る声で声をかけてくる小柄なポニーテールの女の子。
八城 麗(やしろ れい)だ。
「おはよう、麗。うん、まぁよかった?のかな。
」
『よかったんだよ!あたしに会えたのだから!』
麗はそういうと胸を力強く叩き、二カッと笑った。
「それもそうだね。来れてよかったよ」
『ん?なんか今日は妙に素直だなぁ、なんかいいことあったの?』
くりっと丸い目を大きく開く。何か質問をするときはこの仕草が癖らしい。
本人は気付いてないようだが…。
「いや、特にないけど?いつもこんなのだよ。」
『そうかぁ?まぁいいや。じゃまたあとで!」
そういうと走って部活の朝練に向かって行ってしまった。
私は先ほどと変わらないスピードで一人
通学路をゆっくりと自転車を押しながら歩いて行った。
< 1 / 2 >