KISEKI
あ…



そういえば、さっき、人が私を通り抜けて行ったんだよなぁ~、と
思い出す。





なんでだろう?

ついさっきの出来事のはずなのに―


正直、私はそのことを忘れていた。








「行きましょうか?」

ふいに、カノジョは立ち上がりながらそう言った。


「…何処へ?」

「時間がないわ」


そう言い、半ば強引に私の手を取ると
カノジョは走るように歩きだした。

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