KISEKI

3.契約

家を出たところで、私は立ち止まった。





もちろんカノジョの声で足を止めたわけではない。

立ち止まったというより、動けなくなってしまったのだ。








―家の前に現れた人影を見て―










「…智志くん」

声にならないほどの小さな声で呟く。









カレは





俯きながら拳を握りしめていた。









両手を震わせながら…
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