はじまりはあの時から。
そう思いながら、私は魁斗の腕をはらって、距離をとった




「なあ、お前彼氏できたの?」




「へ?」




「さっきあの男に言ってたじゃん、彼氏がいるって」






…あ、言った、確かあの時返事に困ってとっさについた嘘のことだ





「あれは、嘘だよ」




「だよな、だって、らら俺のこと大好きだもんな」



そう言って椅子に座る魁斗




確かに魁斗のことは好きだけど、どうしてそんなに自信満々に言ってるの?



「らら、こっちきて」



「やだ」



そんな抵抗は無駄で…




「来なかったらここで襲う」




お、お、ぉ。襲う…?!



だめだめだめだめ




私は魁斗の前までいくと、ぐいっと、手を引っ張られて




「わっ」



魁斗の膝の上で向かい合わせに座っているような状態になった




「俺、麻友となにもないよ?



俺が好きなのはららだし」



…ええっと





どうして私がそのことで困ってる事知ってるの?
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