幕末の月
一番組
”この時代”に来て3日目。
入隊試験?を経た私は、沖田さんが組長を務める一番組に配属された。
配属、といっても基本は雑用。
新撰組に女は私しかいないらしく、家事はもちろん、真剣や防具の手入れのやり方も覚えた。
「よお、千月!今日も頑張ってんな」
朝稽古を終えた原田さんが朝食の漬け物に手を伸ばす。
「あ、ちょっ、原田さん!」
私がお皿を取り上げると不満そうな顔をして
「いいだろ一口くらい」
「一口じゃなかったですよ!もうすぐできるから待っててください」
…まだ、この人たちが防具を身につける姿を、私は見たことが無い。
それが一番なんだろうと自分に言い聞かせるが、考えてしまった可能性が頭から消えることはない。
__歴史が変わるのではないか_。
こう見えても歴史は好きな方だ。
新撰組が歴史にどのように関わっているのか、大体は覚えている。
そして、どのように終わるのかも。